芦安地域中心部全景芦安地域は山梨県の西部南アルプス市にあり、南アルプスの玄関口に位置する人口600人ほどの山里です。富士山に次ぐ、我が国第2の高峰「 北岳 」はこの芦安地域にあり、このほか、間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、鳳凰三山を燐境に持ち、森林が97%、地域の77%が自然公園という自然豊かな土地です。
集落の東西には御勅使川が、南アルプスのV字谷を野呂川が流れ、山梨県でも有数の山間地になっています。したがって芦安地域は御勅使川沿いの標高560メートルから3193メートルの北岳山頂まで山の中です。
平成11年1月、南アルプスを愛する有志が集い、
「南アルプスの豊かな自然を守りながら地域の活性化をどう図っていけばいいのか」を話し合い、無限の魅力を持つ南アルプスの全体像を描くために、村行政の関係者や住民にも呼びかけて検討する会が動き出しました。
平成11年2月には、旧芦安村の役場幹部、村議、観光協会などにも声をかけ21人が集まりました。しかしその中での話は、旧芦安村の豊かな自然を大きな価値のあるものとしてとらえている人はあまり多くはありませんでした。現実には、村が何か検討すると、必ず「自然公園法」と「県有地」が立ちはだかるとの意見が多く出されました。南アルプス国立公園は昭和39年6月1日に、南アルプス巨摩県立自然公園は昭和41年4月1日に指定されているためです。
こんな意見が出た。
「南アルプスは地元の山でありいつでも登れる」
「今は都会の人達が村中を素通りして山へ行く」
「都会の人にとって豊かな自然は魅力かも知れないが我々にとって
今の山はあまり価値がない」
村民は昭和40年代までは山で生活する人も多かったのですが、薪炭や林業経営が行き詰まり、住民は街の方を向かなければ生活できなくなっていました。地元は急峻な傾斜地がほとんどで産業が育ちにくい状況にあり、村の活性化を考えられないままでした。
新住民も多いこともあり今までにも新しい取り組みも行ったが長続きしない、将来を見据えた取り組みが欲しい。との要望などが出されたのです。
そこで、毎月例会を開き出来るものから取り組んでいくこと、また村行政への提案も積極的に行うことを確認し、南アルプスと旧芦安村を愛する人達であれば、村内外の誰でも入れる会として「芦安ファンクラブ」と決定したのです。
当クラブの活動の変革は「個人 → 団体 → 行政」へと短時間のうちに目覚しい進展を見せました。このことは、現在のまちづくりや環境保護は、私たち民間と行政が 一体となって、発想から実践までをまさに協働して進めることにより成功に導けることを教えてくれています。
当クラブは、今日までの活動の成果あるいは失敗例を慎重に検証して、今後の活動に生かしてゆくことにより、地域の活性化 と南アルプスの自然保護に寄与してゆきたいと考えております。